White Album
ORIGINAL SOUND TRACKS
1
あの頃のように
石川真哉
2
WHITE ALBUM
3
朝陽
石川真哉
4
森川由綺
石川真哉
5
緒方理奈
下川直哉
6
澤倉美咲
石川真哉
7
河島はるか
中上和英
8
観月マナ
石川真哉
9
篠塚弥生
中上和英
10
フランク長瀬
下川直哉
11
出逢いの街
石川真哉
12
聖夜
石川真哉
13
ひとときの休息
石川真哉
14
TENSION
石川真哉
15
WINTER VACATION
石川真哉
16
SOUND OF DESTINY
17
ぬくもり
石川真哉
18
星を見上げて
石川真哉
19
FILL YOU
石川真哉
20
冷たい雨
中上和英
21
WHITE ALBUM PIANO
石川真哉
22
POWDER SNOW

 

〜僕とシンヤと校庭で〜

「ビートルズが種を蒔き、その実りはユーミンとサザンだけが収穫できた。
それがジャパニーズポップシーンだ」
独特な作風を持つコンポーザー、アンジェロ・バダラメンティのそんな皮肉めいた
セリフを、当時、僕はカナダのリッチモンドにある叔父の家のラジオで聞いていた。
あれから数年、帰国する直前の僕はUKビートにやや疲れを感じ、母国・日本の
ミュージックシーンにノスタルジックにさえなっていた。
しかしそれでも、心のどこかで先のアンジェロの発言に怯えていた覚えがある。
日本人は、音楽への精神に於いてさえも停滞という惨禍を繰り返すのか、と。
安直ではあるが、フリットポップや、あるいはクレプスキュールのニューウェイヴに
身を埋めるか、可能性を信じてマイケル・ナイマンの理論音楽に走るかと覚悟を決めて、
僕はJAL-703便のタラップを降りた。
ケベックで、オリビア・パニスがコンクリートウォールに時速300kmのキスをした、
あの1997年のことだ。
*
僕が、伊丹市というベッドタウンにトランクを転がしたのは、その年の10月。
まだなお陽射しの衰えぬ、空気の澄んだ秋の日だった。
赤くなりかけた陽光に色づく503号室。僕の新居だ。
部屋まで僕を案内してくれた、その背が高く髪の長い、もの静かな青年は、
「オレはDOZA。ミュージシャンだ。仲良くやっていこうぜ、シナリオライター君」
それが、僕と彼、コンポーザー・DOZA氏との出会いだった。
*
僕がLeafで初めてメインシナリオを手がけた、この『WHITE ALBUM』は
(あえて書くこともないと思われるが)音楽というセクションが非常にイニシアチブを
持っている作品だと感じられた。
といっても、何もジョン・ウィリアムスばりの力技を披漏していると言っているわけではない。
僕がひどく感服させられた点であるのだが、この音楽チームは本来ウィリアムズの
オーケストラとスコアで行うべきところを、ポップスでやってのけているのである。
(Leafというレーベルが音楽にパワーを注いでいることは知っていた。がしかし、
こんなアクロバットまで見せてくれるとは!)
しかしそんなことが却って、開発中に何度となく頭を抱えさせたことも事実だ。
カナダの、あの懐かしいユーコンの岸辺に逃げ帰ってしまおうかとも何度も思った。
しかしその度にDOZA氏は僕の肩をたたき、こんな風に言ってくれたものだ。
「食事に行こうか?おっと、その前に涙はハンカチにしまっておけよ。
そんな顔じゃあ、ウェイトレス一人引っかけられないぜ」
*
1998年5月1日、『WHITE ALBUM』は全国的にリリースされた。
蓋を開けてみれば、未熟な僕のシナリオも、ビジュアル、そして、まさに音楽に助けられつつ、
そのチームプレーにとけ込んでいた。
すっかり雪も消え、再び暑くなりゆく太陽の下、僕は冬の温もりに酔いしれた。
そんな僕の様子を当の音楽スタッフ達は軽く微笑んだだけだった。
*
日本のポップシーンに不安はない。なにも異国の文化にまで頼る必要はない。
僕はそう感じた。このナショナリズムを恥じることはない、と。
ここに、彼らがいる限り。
*
音楽のことについては、ふだん何も語らない音楽スタッフだが、僕は一度だけ、
「『冬の音楽』とは、一体どんなイメージを持って作るのか?」
と尋ねたことがある。
するとスタッフの一人、中上氏は曖昧に笑って、こう語ってくれた。
「昔、北欧の白樺の林の上に、オーロラを見たことがあるんだ。オーロラは、
無数の科学的根拠で正体を知ることもできるけど、ただ『綺麗だ』と眺めることもできる。
オレ達は、どちらかというと後者が好きってだけだ。
・・・曲を書いてるって気はするけど、パーツを集めて作ってるって気はしないな」
その意味をはっきり理解できたとは思わないが、仕上がってくる曲を聴くたびに、
「あぁ、そうかもな」
と、同じような曖昧な笑みを浮かべることが多くなったと自分でも思う。
(余談だが、最近、僕はLeafを「ブランド」ではなく「レーベル」と呼んでいる。
なぜか自分的にはすごくしっくりくる)
*
今、近所の小学校の校庭で、これを書いている。
下校後で、校舎内には完全に誰もいない。
もうすぐ夕日が落ちる。まだ暑いような、ぬるいような、あの不思議な温度だ。
セミの声も、心なしか少し涼しげに聞こえる。
隣では、開発時の迫力を全く消し去ったDOZA氏が、レースクイーンのトレカを
ニコニコもてあそんでいる。(ナニ?スペシャルが出た?)
夕日の下の今の彼は、まるで少年だ。
と、僕の視線に気づいたようだ。
僕の頭をクシャクシャにしながら、メシ食いに行こうとはしゃいでいる。
じゃ、行こうか。
*
ペンを収める前に、最後はこの言葉で締めよう。

「また組もうな」

1998.7.8 シナリオライター 原田宇陀児
「リーフミュージックトリビューン」夏号 より修正・加筆

追記

お問い合わせの多かった、オープニングの森川由綺についてですが、彼女は実在する見習いシンガーさんです。
芸名は未だに決まっていないそうですが、ひょっとしたら「森川由綺」でデビューするかも知れませんね。
緒方理奈さんも同様です。
ただ、こちらの方は「緒方理奈」が本名なので、この名前でのデビューはないんじゃないかと笑っておられました。
作中人物同様に、笑顔の素晴らしい女性でした。
リーフの歌姫、AKKOさんはご近所にお住まいの、ごく普通の女性の方と僕は聞き及んでいます。
ときどき僕達が気だるい午後を過ごすカフェテラスに、よく足を運ばれるそうですが、
僕はいまだにお会いしたことがありません(苦笑)
なお、「WHITE ALBUM PIANO」は、僕が無理を言ってDOZA氏に
特別に書いてもらい、「森川由綺」さんに弾いていただいたものです。
この文を以て、最大級の謝辞とさせていただきます。

 

◎「ホワイトアルバム」発売1ヶ月前、デバッグ期間にて

作曲、録音とも何とか終わらせた俺は、デバッグに取り掛かるのである。

『名前を入力して下さい』
俺は自分の名前をきっちり入力する派だ。デフォルト名では感情移入度が
減る(笑)名字は「石川」、名前は「どざ」(爆)っと、これでよし。

と、こんな風に毎度の事ながら、俺はデバッグ作業をする事によってゲー
ム全体の流れを初めて把握するのである。イコール、ユーザーの皆様とだ
いたい同じような感覚でゲームを楽しむ事が出来るのである(それでいい
のか?/笑)。曲が画面に合ってるかもここで初めてチェック出来るのだ
が・・・ゲームを進めていくうちにイメージが膨らみ「ここはオケ調の曲の方
が合ってたぜ」とか「ここの音色、シタールの方が良かったかもな」など
後悔するのだ。一通りゲームを終了する頃には、後悔の連続でマウス片手
にのた打ち回るのである。

デバッグは一見、楽しい様に思われているが単純作業の繰り返し&連続の
徹夜で睡魔に襲われるなど結構辛い。そんな徹夜続きの辛いデバッグ期間
の中にも一つの楽しみがある。 それは普段なかなか食べる機会の無い、マ
クドのブレックファースト(ホットケーキ)をスタッフほぼ全員で食べに
行くという事だ。清々しい朝、爽やかな音楽の流れるマクドの店内は、目
の下にクマをつけホットケーキをむさぼる男達によって活気付くのである。

と、こんな事を繰り返しながらデバッグ作業は終了するのである・・・・・って
これ音楽CDに付くライナーノーツ用のコメントやん。なんでデバッグでの
苦労話なんか書いてんねん。
「次こそは、まじめに曲についてのコメントを書くぞ」っと後悔する俺で
あった。・・・す、すみません。

音楽担当:石川真也

 

どうも サウンドを担当している下川です。今回は3曲と極端に数が
減っていますが一曲一曲に力を入れて作りました。

まず作っていて今回一番楽しかったのが『POWDER SNOW』
です。何といっても楽器が全て生になった事ですね。楽器構成は普
通ですがギター、ベース、キーボード、ドラム、サックス、そして
歌のAKKOさんとかなり豪華な使い方をしています。

制作課程を少々説明しますとまず企画サイドよりエンディングのイ
メージとコンセプトめいた物が上がってきて、それを作詞の須谷さ
んに渡して歌詞が上がってきます。それをもとに私がダミ声で歌い
ながらイメージを合わせつつメロディーが出来あがり、女性ボーカ
ル用にキーを3音上げるわけです。すなわち3音下げると男性で歌
える曲だという事ですね。
それだけに思い入れもありますし、それを見事に歌いこなしてくだ
さったAKKOさんに感謝しています。ホワイトアルバムをプレイ
された人々がエンディングで浸れるように全力で作った自分なりの
ヒット曲です。

あと理奈のキャラ曲も担当しています。裏話を話しますと、もとも
と由綺の曲として完成したのですが企画サイドの方から理奈のほう
が合うという事で入れ替えになりました。最初は他の2人のサウン
ドマンに合わせたBGMちっくなノリを考えていたのですが、なか
なかOKがでずにどんどんメロディーぽい路線に入ってしまいまし
た。結果的に彼らのようなBGMフュージョンは苦手なので助かり
ました。

残りの一曲はもう思い残すことはありません(笑)私を長瀬呪縛か
ら解いてくれー。

音楽担当:下川直哉

 
どもどもっ!リーフ広報 兼 へべれけ音楽マン、中上っす。
今回僕は、担当した曲数が少なかったので一曲ごとのこぼれ話などを・・・

■SOUND OF DESTINY■
最初は「フルコーラスつくちゃおーかなー」なんて調子コイた事を言ってたんで
すが、僕のアイデアがなかった事と、何よりゲーム中のイベントにしては長すぎて
しまうのでボツ(^^;
そういう経緯もあって、実は歌詞は2コーラス分出来てい(ドカーン!)
そ、それにしても、ヴォーカルの理奈ちゃん、エェかんじですわ〜☆特にサビの
「鼓動がきーこえーるー(ぅ)」ってあたりがシビレちゃいます〜(は、ヨダレ
が)え?「ホントは誰が歌ってるのか?」ですって?いやだなぁ〜理奈ちゃんは
理奈ちゃんですよぉ。ってチョット白状しちゃうと、聞いた話ではメジャーデビュ
ーはされていない方らしいですよっ。

■篠塚弥生■
この曲はヤッパリ、僕が初めて見たCGである、「弥生さんと車に同乗シーン」の影
響がかなり出ていますね。
僕の中のイメージがその辺に固定されちゃっていて、もうオシャレな路線しか浮か
んでこなくなっちゃうし(汗)最初はイントロ(Aパート?)の部分はサックスとかで
作っていたんですが、「かなりシブ過ぎる〜!」というわけでソフトリード系に変
更。ミステリアスな方面に修正成功?

■河島はるか■
「よーし!理奈のヴォーカル曲も作ったし、キャラ曲も理奈で行くぞ〜!」と意気
込んで作り始めたんですが、好きなように作っていたらいつの間にかはるかの曲が出
来てました(笑)作りながら薄々してたかもしれませんが(^^;
思い通りにならない辺り、まだまだ修行が足りませんな。

■冷たい雨■
多少の時間的余裕があったので、曲指定にはなかったイベント用の曲を作ってみる
ことにしました。とりあえず、どのキャラクターにでも使える悲しめの曲がいるら
しいので、悲しみのエレピソロで!
最初の8小節が出来たので聞いてもらう・・・「なんか人が死んでそう」
そ、そうかも(^^;
ということで、後半に少しほんわかな展開を入れて暖かさをプラス?

ってな感じで、相変わらずふらふらと試行錯誤しながら曲を作っております(^^ヾ

最近どうも、1日の過ぎる速度が異様に速く感じるんですよねー。というか曲を作
るスピードが異様に遅くなってきているだけ?あぁ専業音楽マンでなくてよかっ
た(ォィ)

音楽担当:中上和英

 

みなさん、こんにちは〜。
今回、絵を描かせて頂きました、ら〜・YOUと申します。

毎回音楽家3人の激しい戦い(?)は凄まじいものがあります。
今作品『WHITE ALBUM』も、熱い火花が飛び交いました。
特に今回は、ボーカル曲を各自一曲ずつ担当したことで、プレッシャーという名の
スランプが続いたようです(涙)
そんな苦労の末、心に残る、すばらしいものが出来たと思います。
彼らサウンドマンの熱い魂の叫び(悲鳴?)を聞いてあげてください。

最後に、このCDを買って下さったみなさま、本当にありがとうございました。
今後ともリーフサウンドスタッフに、ご声援の程、よろしくお願いします。

ぼ、僕も・・・(涙)

原画担当:ら〜・YOU

 

WHITE ALBUM
ORIGINAL SOUND TRACKS
 
LEAF SOUND STAFF
 
Naoya Shimokawa
Shinya Ishikawa
Kazuhide Nakagami
 
Producer
Naoya Shimokawa
 
Recording Engineer
Kenichi Arimura
 
Recording Studio
STUDIO AQUA
 
Vocal
Yuki Morikawa(M2)
Rina Ogata(M16)
AKKO(M22)
 
Chorus
AKKO(M2.16.22)
 
Guitar
Shingo Fukuda(M2.16.22)
 
Sax
Akihiko Yoshimura(M2.22)
 
Bass
Hiroyuki Ueda(M22)
 
KeyBoard
Jyunya Matsuoka(M22)
 
Drums
Teru Murayama
 
Illust&CG
Rah You
 
Art Design
Ken2
 
Special Thanks to Leaf All Staff